2018.08.01
投資先リスト
MutoKentaro
元USJ森岡氏の刀と戦略的パートナーシップを有するベアリングPEー全投資先リスト
ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(以降、ベアリングPE)はアジア最大級のバイアウトを主体としたPEファンドであり、昨年11月に元USJの森岡氏が立ち上げた株式会社刀との戦略的パートナーシップを発表したことでも知られている。
ベアリングPEのこれまでの投資・ポートフォリオの状況は以下の通りである。
- 2007年のバークレイズバウチャーから合計7件に投資
- 7件中6件はエグジットが完了し、2018年7月時点で保有するポートフォリオは武州製薬のみ
- これまでのエグジットはすべてトレードセール(含む自己株TOB)でIPOによるエグジットはない
最近のエグジットの傾向として、ジョイフル本田を除くと、ペイロールはジャフコ、プリモ・ジャパンはロングリーチ、ネットジャパンはオリックスとPEファンドもしくはオリックスのようなPEファンドに類似した投資を行う主体への売却、いわゆる「セカンダリー・エグジット」が多い。この背景はベアリングPEは買収・MBO後に成長方向性をつけた後、成長余地を残したまま早期に売却をする傾向があるのかもしれない。
以下、これまでの全投資先のリストをまとめる。
投資先名
投資年月
エグジット状況 |
本件特徴 |
企業・事業概要 |
案件概要 |
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ニッチビジネスを取得し、グローバル大手と統合させる役割
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- ランチ・ミールクーポンの発行・運営、主に企業に対して福利厚生の一環として従業員に付与
- 現在はエデントレッド・ジャパンに社名変更し、グローバルのレストラン・クーポン発行・運営企業の日本法人
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- 投資概要
- 投資後及びエグジット概要
- 2012年にグローバルに同種のレストランクーポンの発行・運営を行うエデンレッド(フランス語:Edenred SA、本社:フランス)が日本への参入のために買収
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2007年12月
エグジット完了
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長期保有後に業界大手との統合ー業界再編を促進 |
- 精密部品の開発・製造・販売に従事
- 主要製品は自動車や住宅にて用いられるホースクランプ・イヤークランプや線バネ
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- 投資概要
- 2007年12月にベアリングPEによりMBO、買収額は24億円程度(各種報道)
- 投資後及びエグジット概要
- 2014年9月に総合精密金属部品の製造販売に従事するヤマシナにより買収された
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2008年1月
エグジット完了
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安定したキャッシュフローを生み出すストック型事業 |
- カスタムメイドの給与精算代行業務を提供、給与計算の基本サービスに加え、SasSベースの「e-Pay」や財形等の人事関連業務を代行する窓口業務などを提供
- 1989年に創業後、インテリジェンス及びパソナ(インテリジェンスの買収後)の子会社、その後ADP社(米国アウトソーシング大手)が50%取得
- 2018年3月時点で約240社86万人にサービスを提供
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- 投資概要
- 2008年1月、パソナとADP社から持ち分を買い取る形で、ベアリングPEによるMBO
- 投資後・エグジット概要
- 2013年4月、ジャフコに売却(更にその後、2017年6月にクレアシオンキャピタルにより買収されている)
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2011年1月
エグジット完了
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アジア展開を加速することによりバリューアップ |
- ブライダルジュエリーの企画・販売に従事
- グローバル108店舗、うち日本87店舗(2018年7月)
- 2007年にゴールドマン・サックスが買収
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- 投資概要
- 2011年1月、ベアリングPEはプリモ・ジャパン株式をゴールドマン・サックスから買収
- 投資後・エグジット概要
- 買収後は台湾での店舗を拡大
- 2015年1月、持ち分をPEファンドであるロングリーチ・グループに売却、買収額は200億円程度と報道
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2012年4月
エグジット完了
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国内での業界再編を推し進めて圧倒的なシェアNo1企業に |
- 貴金属地金売買及び、貴金属スクラップの買取・精錬に従事
- 貴金属リサイクルの最大手
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- 投資概要
- 投資後・エグジット概要
- 投資後のバリューアップは1)経営管理システムの導入、2)同業他社買収による国内シェアの工場、3)海外展開の加速
- 2014年4月、オリックスが約200億円で買収(ベアリングPEのリリース)
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2014年12月
保有
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成長分野であるヘルスケア・CMOにおける大型投資 |
- 医薬品の受託製造業務(Contract Manufaructuring Organisation, CMO)に従事、製剤の開発から財形追加までプロダクトライフステージに合わせた製造受託を提供
- 1981年にサンド薬品埼玉工場であったが、1999年に塩野義製薬100%子会社として営業を開始、2010年に東京海上キャピタルに買収された
- 2013年にはエーザイ美里工場を買収
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- 投資概要
- 2014年11月にベアリングが買収、入札には多くのPEが傘下
- 当時の買収価格は773億円、EBITDAは70億円程度(各種情報)
- 投資後・エグジット概要
- 2017年2月に武田薬品の国内製剤研究部門の一部を譲受
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2016年3月
エグジット完了
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上場企業持ち分を買取り約1年後に自己株買い入れに応じるー資本再構築におけるブリッジ的な役割 |
- 主に関東地方で大型ホームセンターを運営、2018年7月時点で15店舗、2017年6月期の売上高は1549億円
- 2009年9月に丸の内キャピタルが資本参加、その後2014年4月に東証一部に上場
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- 投資概要
- 2016年3月、上場するジョイフル本田の株式の3割をベアリングPEが丸の内キャピタルから買取、1株2,400円で1621万株で389億円
- 投資後・エグジット概要
- 2017年6月にジョイフル本田の自社株TOBに応じる形でベアリングPEは持ち分を売却、一株3,497円で総額570億円
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注記:
ジョイフル本田、武州製薬、NJ、プリモ・ジャパンの4社はBEPA社HPの ポートフォリオリストから取得、ペイロール、LADVIK、Varklay Voucherは各種資料から取得
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