ゴルフの名門ブランド「テーラーメイド」の買い手はプライベート・エクイティ・ファンド

ドイツのスポーツ用品大手アディダスは10日、傘下の「テーラーメイド」などゴルフ関連ブランドを投資ファンドの米KPSキャピタル・パートナーズに4億2500万ドル(約485億円)で売却することで合意したと発表した。

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ゴルフクラブ業界は苦しい状態である。テーラーメイド事業の売却報道と同時期にNIKEのゴルフクラブ事業からの撤退が発表された。NIKEのゴルフギアからの撤退の理由としては、中心選手であるタイガーウッズの不振というのが世間では語られていたが、その背景にはゴルフ市場の魅力が低下したことがあるのは確実である。

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そのためゴルフ事業はノンコア事業として売却されることが多いため、PEファンドが保有するゴルフクラブメーカーは他にもある。アスリートゴルファー向けのイメージが強い米「タイトリスト」ブランドをもつAcushnetは韓国FILAと韓国の大手PEファンドであるMirae Asset Managementが2011年に買収した。その後Acushnetは2016年にNASDAQ市場に上場した。

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本間ゴルフは2010年に中国のPEファンドのマーライオン社に買収された。それ以前は日系PEファンドのアント・キャピタル・パートナーズとマイルストーンが2006年に民事再生に陥った本間ゴルフを保有していた。本間ゴルフは晴れて2016年に香港市場に上場した。

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偶然にも5/11に日本のゴルフメーカーのマルマンの韓国事業が70.8億円でPEファンドに売却されるニュースも発表されている。

上場企業は常に利益を計上し、それを成長させ続けることを市場から要求される。上場株式に投資する機関投資家は、所謂「キャッシュカウ」的な成熟・衰退事業ながら安定的にキャッシュフローを生み出す事業は保有するよりも売却して、得られたキャッシュを成長事業に投資するか、もしくは株主に還元すること会社に対して求めがちである。
ゴルフクラブ市場全般に衰退傾向にある中で、積極的に拡大したいゴルフクラブメーカーは多くない。そのような売却案件での買い手としてPEファンドが期待される。必ずしも成長を求める必要はなく、既存事業からのキャッシュフローを極大化し、それにより投資リターンを得ることができるのであれば、PEファンドにとってゴルフメーカーは十分投資に値する。

しかし実際には、単に既存のキャッシュフローを極大化するだけではなく、Acshnetのケースや本間ゴルフのケースに見られる通り、新たなブランディングを構築し、また成長の道筋をつけて再上場させることに成功している。おそらく、テイラーメイドも同様にPEファンドの傘下で事業構造を変革し、数年後に上場してくることが想定される。

このような事業を一時的に引き受け、企業価値を向上しうることは、PEファンドの重要な存在意義であろう。

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