6月16日、日本みらいキャピタル(以降、日本みらい)は高砂製作所の株式をNECに譲渡したことを発表した。日本みらいは2014年3月に当社持分の51%をNEC(等)から取得している。その際にNECは47.4%のみを保有するマイノリティ株主となった。今回、そのNECが再び日本みらいの持分を買い戻す形となった。
[blogcard url=”http://ma-times.jp/51960.html”][/blogcard]本件の大きな特徴は、この「買い戻し」の取引であろう。はたしてNECにとって一連の取引のメリットは何だったのだろうか?2014年当時の買収価格も今回の売却価格も開示されていないため推測でしかないが、NECは2014年の売却時の価格よりも高い価格で買い戻している可能性が高い。
外部資本を入れて経営の規律(Decipline)を高めることは大きな意義があると思う。特に大手企業において子会社はどうしても親会社との関係に「甘えてしまう」ことがある。子会社でなくなることにより経営の自主性であったり、事業の採算性であったりが高められる可能性は十分にある。今回の売却時のリリースには具体的な投資による変化として、「従業員一人ひとりが自ら考え行動する企業風土への変革」とある。これは外部資本としてPEファンドである日本みらいを株主として受け入れた大きな結果であったと推察する。
2014年3月の資本参加時 2017年6月の売却時 高砂製作所は高い技術力を誇る電源装置のトップメーカーのひとつであり、標準電源・システム電源・環境エネルギー・通信機器・スタジオ機器の5つを事業の柱としております。特に近年は、電気自動車やハイブリッド自動車、燃料電池車の開発に欠かせないシステム電源装置を大手自動車メーカーに納入しており、顧客からその技術力を高く評価されております。また日本版グリーンニューディールに対応したエネルギー制御装置等環境エネルギー分野も強化しつつあります。弊社は、経営人材の派遣等によってマーケティングおよび生産機能を強化するとともに、戦略の構築・実行を通じて、高砂製作所の企業価値向上に取り組んで参ります。 中長期的な観点から事業の筋肉質化を進めるとともに、従業員一人ひとりが自ら考え行動する企業風土への変革を強力に推進して参りました。具体的には、「ファシリテーション」と呼ぶワークショップ形式の中期計画の策定・実行支援の取り組みを導入し、従業員が自律的にPDCAサイクルを回す仕組みを構築致しました。 出所:日本みらいニュースリリース
このようなグループ企業・事業の変革をするためにPEファンドを受け入れ、一定期間後にそれを買い戻すという動きはそれほど多くないと想定する。今後このような形でのPEファンドの活用が増えてくることを期待する。
PEO編集部
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