J-STARがアルファコーポレーションから家庭教師派遣事業及び個別指導教室運営事業を取得

5月15日、国内系プライベート・エクイティ・ファンドのJ-STARは、株式会社アルファコーポレーション(本社:北海道札幌市、代表取締役:木村直人、URL:http://alpha1999.jp/)から家庭教師派遣事業及び個別指導教室運営事業を取得したことを発表した。

対象会社は、「家庭教師のアルファ」のブランドで家庭教師派遣事業の運営を目的として2005年に設立され、対象事業は、札幌において16拠点の個別指導教室運営に加え、全国において家庭教師派遣事業を展開しているという。以下のJ-STARのリリースにも記述されている通り、少子化という人口動態の中で、意外にも教育産業は”穏やかな”成長産業である。

教育業界の環境としては、少子化による市場縮小はあるものの、対象事業は個別化ニーズの高まりを捉え、プロ講師による”寄り添いながら教える” 1対1の完全個別教育のサービス提供をしております。(J-STARニュースリリースより)

教育事業最大手のベネッセの開示によると、校外学習(塾・予備校、通信教育、その他家庭教師等)の市場規模は2014年度で1.5兆円弱、そのうち9,380億円が塾・予備校の市場規模である。実はこの市場規模は穏やかに増加しており、2016年度には9,650億円になることが想定されている。更に内訳で見ると、個別指導は塾・予備校市場に於ける比率は2016年度で45.1%程度と想定されているが、この比率は年々増加している。

 

学習塾・予備校市場規模推移

出所:明光ネットワークジャパンHP

また狭義の教育事業の枠を超えて、全国の家庭教師のネットワークを活用し、不登校の生徒の家庭教師を手がけるなど社会性の高い取り組みも行っている。以下のコメントを見ても、J-STARとしてはこの事業を単なる教育事業ではなく、地域のつながりやライフスタイルの変化、女性の社会進出支援などの社会的課題に取り組める企業に変革していくことを狙っているように思える。

家庭での教育力は、地域のつながりの希薄化、ライフスタイルの多様化、女性の社会進出および核家族化の背景で、その低下が近年指摘されております。弊社としては、アルファ社が提供する家庭での個別化教育サービスが近年の社会的な課題解決に貢献するものと考え、そのビジネスモデルの構築を支援して参ります。(J-STARニュースリリースより)

社会性の高さということからすると昨年上場したLITALICO社が想起される。障害者や発達障害者の支援やうつ病のサポートなど社会問題に取り組み、それだけではなくそれをしっかりとした収益性のある事業として成立させている企業である。昨年3月に上場したときは1,000円で今は株価は1,600円を超える水準で、株式市場からも高い評価を得ている。

別の機会に紹介できればと思うが、J-STARはこれ以外にも終末期ケアに特化した訪問看護・介護サービスの企業や過去廃プラスチック類のリサイクル企業など社会性の高い企業への投資も少なくない。ESGへの配慮ということも明確に宣言している。本件投資がどのような形で狭義の教育事業にとらわれない社会的意義の高い事業に変革していくのか楽しみである。

PEO編集部

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