TASAKI社MBO(2)批判は正しいのか?

今回のTASAKI社のMBOに関して、個人投資家向けのメディアは批判的にみている。

ファンド絡みのMBOで結局もうけるのはファンド。
TASAKIも二の舞か!?

http://diamond.jp/articles/-/122905

このような見方の背景はMBKパートナーズは過去TASAKI(当時は田崎真珠)に投資をしており、今回の投資が2度めであることであると思われる。ある企業がPEファンドからPEファンドに売却される取引(これをセカンダリー取引という)は散見される。しかし、今回のケースのように同じ企業が同じファンドに2回投資をされるケースは少なくとも本邦において見たことがない。

「高値で売却して、株価が下がったところで安値で買収したのではないか?」この件が発表された際には筆者もそのような思いを頂いた。しかし実際には、2015/7の売出価格は2,204円だったのに対して、今回はそこに1円上乗せする形で2,205円での買収となった。これは明らかに投資家からのそのような批判を受けないようにTOB価格を設定したものと推察される。

今回の買収価格は決して「割安」ではない。事業会社のM&Aの価格水準を図る指標として代表的なEV/EBITDA(EVはEnterprise Valueの略で企業価値、EBITDAはEarnings Before Interest and Tax + Depreciation + Amortizationで、償却前営業利益)を見ると前期で12.5倍、今期予想で13.9倍である。この水準は、世界・日本の同業他社に比べても全く遜色がない高い水準であることがわかる。

本件MBOはMBKパートナーズにとって個人投資家向けメディアが指摘するような甘い投資ではない。本件投資から収益を上げるためには、現状維持では足らず、MBOの意義にある通りの海外展開を実現し、成長が期待されない国内市場への依存から脱却することが必要である。MBKパートナーズは、過去USJに投資し、大きく変革させた実績がある。今回のTASAKIもUSJ同様の「非連続成長」を実現することを期待したい。

TASAKI社MBOの分析

(指定なければ百万円)  
対象会社 TASAKI
証券コード 7968
TOB発表日 2017/3/24
TOB価格(円)(1) 2,205
前日終値(円) 1,550
TOBプレミアム 42%
買い付け予定株数(株) 14,305,602
株式買収総額  (1) 31,544
有利子負債 10,000
現金 1,526
ネット有利子負債 (2) 8,474
優先株他 (3) 0
企業価値 (1)+(2)+(3) 40,018
前期決算期末 2016/10/30
EBITDA(前期実績) 3,194
EBITDA(今期予想) 2,880
営業利益(前期実績) 2,664
営業利益(今期予想) 2,350
純利益(前期実績) 2,014
純利益(今期予想) 2,060
EV/EBITDA(直前期) 12.5x
EV/EBITDA(今期) 13.9x
P/E(前期実績) 15.7x
P/E(今期予想) 15.3x
銀行借入 24,000
出資額 18,680
合計 42,680
D/EBITDA(直前期) 7.5x

 

同業他社のEV/EBITDA

社名 国名 EV/EBITDA
リッシュモンド スイス 15.2
ティファニー アメリカ合衆国 12.4
ヨンドシーホールディングス 日本 9.0

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です