ポラリスによる急成長するチーズタルトチェーンの買収ー急成長する事業へのPEファンド投資

7月31日、ポラリス・キャピタル・グループ(以下、ポラリス)は運営するファンドにより、株式会社BAKE(所在地:東京都港区白金台、以降、BAKE社)の株式の大半を8月29日付けで取得することを発表した。飲食チェーンに対するPEファンドの経営参画事例は多くあるものの、本件はBAKE社がスタートアップと言えるほどの急成長事業である点が特筆すべき点である。

ポラリス・キャピタル・グループは現在は本邦の大手独立系のPEファンドである。みずほ証券によるニュースリリースにある通り、元々設立時にはみずほ証券が人的・資金的に深く関与していたが、徐々に独立色を強めてきた。現在のみずほグループとの関係は、以下に解説されている通り、「みずほグループからの独立性・中立性を確保しつつ、人的関係を活用してみずほグループのネットワークにアクセスできる」ことを強みとしている。

Q:ポラリスとみずほグループの関係は。
A:ポラリスは、経営面及び資本関係においてみずほグループからの独立性・中立性を確保し、独立系ファンドとしての強みである、柔軟かつスピーディーな意思決定を実現しております。一方、みずほグループ出身者が多いことからみずほグループのネットワークへのアクセスが可能となっており、ポラリスが独自に構築した他の金融機関、会計系ファーム、コンサルティング会社、ブティックM&Aハウス、経営者等とのネットワークと合わせ、ハイブリッド型ネットワークを実現しております。
出所:ポラリスHPのFAQ

BAKE社は焼きたてチーズタルト専門店「BAKE CHEESE TART」を始めとするプレミアムスイーツを運営する企業である。創業社長の長沼真太郎氏は北海道の老舗洋菓子店「きとのや」の創業家出身で、大学卒業後に大手商社に勤務、その後きとのや社に入社し、BAKE社を創業した。

BAKE社はきとのや社の子会社としてスタートしたわけではない。社長の長沼氏が原宿に「お菓子のスタートアップ」として始めた事業だ。敢えて「スタートアップ」として自社を表現し、その経営においてはABテスト等のIT業界における経営手法を積極的に取り入れた。以下の記事(BAKE社のオウンドメディア)にBAKE社の創業ストーリーが詳しく語られている。

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このようにBAKE社は従来の飲食チェーンの枠に収まらない成長企業ではあるものの、本件投資はPEファンドによる飲食チェーンへの経営参画であり、それは一つの典型的なPEファンドによる投資事例である。またリリースに挙げられている海外展開の支援や上場準備などの経営支援も多くのPEファンドによる投資において見られる点である。

本件の特徴は、「お菓子のスタートアップ」という表現にも現れている通り、BAKE社が急成長企業であるという点であると考える。教科書的にはPEファンドは急成長する企業・事業よりも安定したキャッシュフローを有する企業・事業への投資を好む。なぜなら、PEファンドはその安定したキャッシュフローを担保として銀行からLBOローンを調達しつつ投資するエクイティ額を抑えて高いROIを目指すのが一般的であるからだ。BAKE社はその典型的なケースに当てはまらない。BAKE社も相応のキャッシュフローは有していると想定されるものの、BAKE社を成長させるためには、キャッシュフローで負債返済を優先するだけでなく、キャッシュフローを店舗や新業態、ITなどへ投資することも必要であり、キャッシュフローをどこまで成長投資に配分するかという点が本件で重要な事項であると考える。

ポラリスは過去、様々な成長事業への投資とそれらのIPOを成功させてきた。2012年にはアドテクやインターネットサービス企業のVOYAGE GROUPに投資し、それを2014年に上場させている。また2010年に投資した鳥料理や魚介居酒屋を運営するSFPダイニングも2014年に上場させている。これらの成長事業への投資からIPOの経験を有するポラリスはBAKE社の「第二の創業」に於ける最適なパートナーなのであろう。今後のBAKE社の成長と将来のIPOが楽しみである。

PEO編集部

 

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