日本プライベート・エクイティによるダイアトップへの投資ー日本の事業承継を支えるSmall Capファンド

2017年10月11日、日本プライベート・エクイティ(以下、JPE)は農林業機器メーカーのダイア トップ株式会社(本社:岐阜県郡上市)が発行する株式を譲り受けたことを発表した。ダイアトップ株式会社は、チェーンソーのガイドバ ーをはじめ、草刈用ナイロンコードカッターや農林業に関わる各種安全・防護用品等を開発・製 造・販売する会社で、 自社オリジナルの“SUGIHARA”ブランドのガイドバーなどは欧米やアジア、南アフリカなど世界 20 ヶ国以上の林業の現場で使用されている隠れたグローバル企業である。

JPEのリリースは本件取り組みの背景について説明している。

(1) “事業承継問題の解決”と“成長戦略の実現”
(2) 中立性を維持しながら事業基盤を強化・拡大
(3) “オーナー経営”から“組織経営”への移行を実現

資本提供から、成長戦略への舵取り、中立性そして組織の強化まで事業承継に於けるPEファンドの役割という観点から、投資の背景を丁寧に説明しているわかりやすいニュースリリースである。

日本プライベート・エクイティは上場するM&A仲介会社の最大手である日本M&Aセンターと日本政策投資銀行がそれぞれ35%強を保有し、上場ベンチャー・PE投資を行う日本アジア投資が20%強出資するPE運用会社であり、特にSmall-capの事業承継案件を得意としている。JPEの投資方針は以下のとおりである。

日本プライベートエクイティ株式会社(JPE)は、日本の“中小企業分野(Small-cap)” におけるバイアウト(Buy-Out)ファンドの先駆者として、 中立的で信用力のある株主と多くの投資家の皆様からの信頼を背景に、 優良な中堅・中小企業への投資に特化した “事業承継・事業再編ファンド” を運営しています。
“事業承継”に悩むオーナー企業や“事業再編”に伴い分離独立する子会社や事業部門に対して、 ファンドを通じた解決策を提供し、事業存続と企業価値向上の実現を目指します。

2016年11月に中小企業庁が発表した「事業承継に関する現状と課題について」にある通り、2015年には経営者の年齢分布のピークが70歳に差し掛かっている。今後数年間は更に事業承継のニーズが高まるのは間違いない。

中小企業経営者年齢の分布と経営者の平均退職年齢
出所:事業承継に関する現状と課題について

PEファンドは多数存在しており、これらの事業承継の受け手となり得るようにみえるが、実は中小企業の事業承継案件を引き受けるようなSmall-Capを手がけるPEファンドはそれほど多くない。なぜなら、PEファンド運営会社からみた投資に要する手間は企業規模によってそれほど変わらない。そのためPEファンドの出資者となる投資家から見ると大型の投資を行うファンドのほうが効率が良く、結果期待リターンが高いということになる。

JPEのようにSmall-Capを中心に手がけるファンドは事業承継に直面する日本の中小企業を支えるために重要な役割を担っている貴重な存在であり、今後さらなる投資が進むことを期待したい。

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